高齢になるほど発症リスクが高まる「認知症」。
厚生労働省によると、日本人の平均寿命(令和2年)は、
男性 81.64歳・女性87.74歳で、年々延伸傾向です。
もし、ご両親やご自身が発症してしまったら、
思わぬところで大切な財産をなくしてしまうかもしれません。
今回は、認知症・知的障害・精神障害などにより、
一人で決めることに不安や心配のある方が色々な契約や手続をする際に、
第三者がお手伝いをする「成年後見制度」についてご紹介します。
法定後見と任意後見の違い
成年後見制度は、大きく分けると2種類あります。
「法定後見制度」は、すでにご本人の判断能力が不十分な場合に
家庭裁判所が後見人を選び、本人の状態に応じて後見人に与えられる権限が決まります。
「任意後見制度」は、まだ判断能力が十分なときに
ご自身の意思で後見人を指名でき、契約内容を法律の範囲内で自由に決めることができます。
Q.成年後見人等には、どんなことを依頼できますか?
A.ご本人(被後見人)の財産を適切に管理するだけでなく、
生活・医療・介護・福祉など、身のまわりの事柄にも目を配りながらご本人の保護や支援を依頼できます。
ですが、食事の世話や実際の介護などは,一般に成年後見人等の職務ではありません。
Q母の成年後見人となりましたが、不動産などの相続税対策を行うことはできますか?
A.成年後見人は原則として贈与・寄付、投資、利益相反行為はできないことになっています。
あくまでもご本人や財産を“守る”ことを目的とした制度です。
Q.任意後見制度の場合、どのような人から選ぶことができますか?
A.成年後見人には必要な資格はありません。
ご本人の親族のほか、弁護士、税理士、司法書士、社会福祉士や福祉関係の公益法人などからの選任や、複数の成年後見人を選ぶこともできます。
ですが、未成年者や破産者などは法律上、成年後見人になることはできません。
Q.任意後見人を親族から選ぼうと思いますが、全ての財産を任せるのは何となく心配です。
A.家庭裁判所が任意後見契約の内容どおりに保護・支援が行えているかを監督する「任意後見監督人」を選任します。必要があれば、財産目録の作成と提出を後見人に求めて、不正がないかチェックします。
なお、任意後見契約の代理権目録に記載されていなければ、
どんなに必要な行為であっても後見人は行うことができないため、
財産の保存・管理・処分や、医療・介護に関わることなど細かく記載しておく必要があります。
成年後見制度についてのご相談はコチラ
今回は、成年後見制度についての概要をご紹介しました。
「名前は聞いたことがある」という方も多いとは思いますが、
内容が複雑で難しく、活用しきれていないのが現状です。
不動産など財産管理が複雑な場合は、専門的な知識も必要ですので選択肢の一つとしてご相談ください。
参考:成年後見はやわかり(厚生労働省)https://guardianship.mhlw.go.jp/